「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」 1999年/アメリカ/1時間21分
自己評価ランキング B

《ストーリー》
In October of 1994,
three student filmmakers disappeared
in the woods near Burkittsville,Maryland
while shooting a documentary.

A year later,their footage was found.

 今年2本目の鑑賞作品は、全米で話題騒然となった、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」です。この作品は、当初、1999年7月16日に、北米のみで限定公開され、その後、次第に口コミで広まり、年が明けた頃には、1999年公開映画第9位という、大ヒットを記録しました。制作費は300万〜700万円と低予算でありながら、興行収入は、北米だけでも2000倍の収益を上げました。その裏には、インターネットを利用し、映画中に描かれる事件を、ホームページなどで公開するといった効果もありました。それだけに、ホームページより予備知識を持たないまま鑑賞しても楽しめるのだろうか、そもそも、ホームページに関係無く、この作品は、面白いのか?、という疑問もありました。

 むしろ、これは映画というよりは、一つのドキュメンタリーを、映画公開用として編集されたものという感じを、強く受けます。ストーリーも至って、簡潔。訳すと、「1994年10月、メリーランド州バーキッツヴィルの森近辺で、ドキュメンタリーを撮影していた映画学科の生徒3人が、行方を絶った。1年後、彼らのフィルムだけが発見される」となります。つまり、その事件で発見されたフィルムを、私達は鑑賞しているわけなのです。

 なんといっても、これまで、ホラー映画を、面白いと感じたことのなかった私も、鑑賞後、その認識を撤回しなければなりませんでした。小心者の私は、観終わった後、すぐに眠ることは出来ないほどの恐怖的な心理に陥ったものの、その後、この作品の面白さを実感してきました。この作品は、スプラッタームービーのようなグロテスクな表現もなく、エイリアンのような非現実的・SF的なものでもなく、そして、ホラー映画にはよくある、どろどろとした音楽によって、観客を不安にさせるようなこともありません。それなのに、ドキュメンタリーに登場する3人の極限状態にある心理と恐怖感や、そのカメラワークなどから、現実的な恐怖を受けるのです。寒さと恐怖で手が震え、撮影される映像も、思いっきりブレています。こんなことは、普通、ハリウッド映画では、よほどの効果を演出する場合を除いて、絶対に有り得ないことです。しかし、それは、まったく別の意味で、斬新ですらありました。それは、映画を鑑賞する者にとって、より恐怖心を高めることに繋がったのです。

 ただ、増大されるのは、恐怖心だけではありませんでした。物語の展開に対する好奇心も芽生えてきたのです。私にとっては、不思議な感覚でした。つまり、恐怖心と好奇心が互いに交錯するので、目を背けたいような心理状態でありながらも、早く、次の展開を見せてほしい、という感覚もあったのです。1時間21分は、果たして長かったのか、それとも短かったのか、それも満足には説明できない程です。

 最後に、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」の続編を制作する計画が、進行しているようです。公開予定は、2000年夏ということで、またもや制作は、低予算・短期間・小人数になるものと予想されます。しかし、この作品は、お金と時間とスタッフが少なくても、コンテンツさえしっかりしていれば、それで充分にヒットするということを、教えてくれました。続編は前作よりもつまらなくなるというジンクスを打ち破って、新しいホラー映画を確立してほしいと期待しています。

監督
 ダニエル・マイリック
 エドゥアルド・サンチェス

キャスト
 ヘザー・ドナヒュー     ヘザー
 マイケル・C・ウィリアムズ マイク
 ジョシュア・レナード    ジョシュ

参考
 ・株式会社インプレス MOVIE Watch
 ・「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」公式サイト
 ・「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」パンフレット