「恋におちたシェイクスピア」 1998年/アメリカ/2時間3分
自己評価ランキング B
そんな、窮状を救ってくれるのは、人気作家ウィリアム・シェイクスピア(ジョセフ・ファインズ)の喜劇しかない。しかし、当のシェイクスピア本人は、大のスランプに陥っており、創作意欲も恋愛も失せている有様であった。そんなある日のこと、シェイクスピアは客席の片すみで、演劇を鑑賞している美しい女性ヴァイオラ(グウィネス・パルトロウ)に目を留める。
その後、シェイクスピアとはライバルである、作家のマーロー(ルパート・エヴェレット)のアドバイスもあり、彼の新作は、試行錯誤しながらも少しずつ形を成していく。その後、新作のオーディションでロミオ役を募ったところ、トマス・ケントと名乗る青年の演技に感銘を受ける。シェイクスピアは、オーディションの後、その青年を追いかけるが…。
私は、正直いって、シェイクスピアのことを、あまり良く知らない。本も読んだことないし、演劇に興味をもったこともない。そんな私でさえ、この映画で、身震いを感じたのだから、アカデミー最優秀作品賞に選ばれたのも頷ける。
おそらく、シェイクスピアに詳しい人や、慣れ親しんでいる人にとっては、至るシーンで、「おっ」と思わせる場面も用意されていることだろう。全く無知な私にとっては、どの場面がそうなのかを知る由もない。それでも、予備知識の無い人は無いなりに、この映画は楽しめることだろう。
もちろん、この作品はフィクションである。映画では、もともとコメディのつもりで執筆していた作品を、一人の女性との出会いがきっかけで、悲劇に変わっていく様が映り出されている。笑えるシーンも一ヶ所あって、私が鑑賞していたときも、私自身を含め、周囲からも笑い声があがったところがある。それは、シェイクスピアとヴァイオラが愛し合っているときの、乳母の対応である。ちなみに、この乳母役のイメルダ・スタントンは、この作品で、夫と共に出演している。夫は、ラルフ・パシュフォード役のジム・カーターである。
この映画の主役、ウィル・シェイクスピアを演じたのは、ジョセフ・ファインズ。6人の兄弟の末っ子として生まれた彼には、レイフ・ファインズという同じ俳優の兄をもつ。その他、姉のマーサは、映画監督してデビューし、もう一人の兄、マグナスは、音楽を担当するという芸能一家でもある。アカデミー主演男優賞こそは、狙えなかったものの、この作品で、これから注目される俳優の一人になったことはいうまでもないだろう。
ヒロイン役には、今作で初ノミネートにして、アカデミー主演女優賞を獲得した、グウィネス・パルトロウ。1973年9月28日生まれ。1995年、「セブン」にて、ブラッド・ピットの妻役で出演。その後、度重なる主演の役に、人気も急上昇した。
この他、「レ・ミゼラブル」で、冷徹なジャベール警部を演じた、ジェフリー・ラッシュは、劇場プロデューサー役ヘンズローを演じ、「ローズ座」の看板スターのネッド・アレンには、「アルマゲドン」のベン・アフレック。そして、今作でアカデミー助演女優賞を獲得した、ジュディ・デンチは、エリザベス女王の役を演じている。彼女は、近年の007シリーズにも登場している。ただ、「恋におちたシェイクスピア」では、全体を通しても10分の登場もないというのに、アカデミー賞を受賞するのは、個人的には疑問が残る。確かに彼女は名女優であることは疑いもないことであるが、ほかにも素晴らしい演技を披露した助演女優がいることを思うと、ちょっと納得できない。
最後に、この映画は、わずか公開5日間で、全国の興行収入5億円を突破したという話であるから凄い。公開を開始したのは、ゴールデンウィーク真っ最中の5月1日であり、更にアカデミー賞という評価もあって、これだけの実績を残せたのだろう。
監督 ジョン・マッデン キャスト グウィネス・パルトロウ ヴァイオラ・デ・レセップス役 ジョセフ・ファインズ ウィル・シェイクスピア役 ジェフリー・ラッシュ フィリップ・ヘンズロー役 コリン・ファース ウェセックス卿役 ベン・アフレック ネッド・アレン役 ジュディ・デンチ エリザベス女王役 トム・ウィルキンソン ヒュー・フェニマン役 サイモン・カロウ ティルニー役 ジム・カーター ラルフ・バシュフォード役 マーチン・クラネス リチャード・バーベッジ役 イメルダ・スタントン 乳母役
参考
・株式会社インプレス MOVIE Watch
・「恋におちたシェイクスピア」公式サイト
・「恋におちたシェイクスピア」パンフレット