「HTMLタグリファレンス」 磯野 康孝・蔵守 伸一:著 ナツメ社
「Gooseberry's Works」というホームページを作成するにあたって、座右の書となった本でもある。ホームページは、HTMLという言語をもとに作成していくことは、今や誰でも知っている。そして、ホームページを作るにあたっては、専用のアプリケーションソフトを用いて作成する方法と、HTMLタグを使って、自分でフルコーディングしていく方法の2種類に系統分けできる。HTMLは言語の一つであるとはいえ、BASIC 言語や、COBOL 言語、そして、Visual Basic 言語等に比べると、非常に簡単に覚えらるので、私は、迷わず後者を選択した。もちろん、初心者の私には、どんなタグがあるのかなど知る由もない。そこで、慌てて本屋へ駆けつけ、数ある類書の中から選択したのが、この本である。
約570ページの分厚い本ではある。でも、大変読みやすいという点を、私は本を選ぶ上で重要視した。基本的なタグの説明から始まり、フォント(字体)の設定、イメージファイル(画像など)の表示方法、ページのレイアウト設定、ハイパーテキストの指定、リスト、テーブル、フォーム、フレームと、初歩的なものから、除々に複雑な機能を紹介するように編集されているので、本書の説明通りに読んで理解していくのもよし、今、自分のやりたいところだけを読むのもよし、ホームページを作る上で、重宝する一冊となった。
本書では、タグの一つ一つを解説し、機能の説明はもちろんのこと、それぞれサンプルリストも用意されているので、初めての方は、それを真似して作っていけばいい。そして、「Netscape Navigator 4.0」と「Internet Explorer 3.0」での、表現の比較もされているので、特定のタグによっては、「Netscape Navigator」でしか、表示されないものもある等、異なるブラウザによる表現例が、一発で分かるようになっている。例えば、文字を点滅させるタグ BLINK は、「Netscape Navigator」では機能しても、「Internet Explorer」では、無視されるし、逆に、文字をスクロールさせる MARQUEE は、「Internet Explorer」でしか使えない。私も、これらを参考に、どちらのブラウザでも表示されるタグのみを、使うように心がけた。
HTMLは、時を経る毎に機能追加や拡張をおこなっているが、本書では、HTMLの仕様ベースを3.2としている。しかし、現在では、4.0の仕様まで策定されているので、今となっては少々古いかもしれない。おそらく、近いうちに最新版も発売されることであろう。特に、ネットスケープ社とマイクロソフト社とでは、互いにHTMLの仕様を決めているので、これからも、ブラウザ毎による表現の違いなど、いろいろと問題があるかもしれない。仮に、マイクロソフト社の「Internet Explorer」一つをとっても、3.xx と、それ以降のバージョンとでは、同じHTML文書を表示させたつもりでも、その表現やレイアウトが違う場合もあり、ホームページ作成者にとっては、苦痛の種になっていることと思う(私だけかもしれないが…)。今後としては、面倒かもしれないが、バージョンによる表現の違いについても、サンプルとして表示させてもらえると、より便利だと思う。
巻末には、HTMLの基礎知識として、ホームページやWWWに関する専門用語を解説してあったり、画像・動画・音声の数ある形式の違いや種類を説明しているので、これ一冊あれば、ホームページを作成するのに、ほとんど困ることは無いだろう。私個人、この本を使っても悩んだのは、アクセスカウンタの表示方法、掲示板の開設の仕方、FTPによるパソコンからWWWへのホームページの転送方法ぐらいのものであった。
最後に、HTMLの解説書やハンドブックは、この本だけにとどまらない。かなりの種類の本が出まわっていることは、本屋を回れば一目瞭然である。もちろん、本書よりも分かりやすく、便利な本もあるだろう。そんな本を見つけた方は、迷わずにその本を買うべきだし、どれを買えばいいか迷う人は、実際に、この本を基にホームページを作った私としては、本書をお薦めする。