024「普通のことをきちんとやり遂げる」
何も奇抜なアイデアを生みだすことだけが素晴らしいわけではない。誰にも解けない難問を解くことだけが優れているとは限らない。それよりも最も基本的なことは、「普通のことをきちんとやり遂げる」ということだ。
例えば、飛行機事故が起きたらすぐ騒ぎになるが、そうでないとき、つまり無事に目的の空港に到着しても、操縦士を褒め称えるものはいない。しかし、彼は乗客乗員の命を一身に背負っているのだ。何もなかったときにこそ感謝されるべきなのだが、普通のことをきちんとやり遂げただけでは、人々の関心は少ない。
この見失いやすい「普通のことをきちんとやり遂げる」という功績を、気づいてあげることが重要なのではなかろうか?
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【銀河英雄伝説】(田中芳樹:著、徳間書店)に、アイゼナッハという登場人物がいるが、彼は大きな会戦で華麗な活躍をする機会はなく、敵の後方撹乱や、増援部隊阻止、味方の補給線防衛などの地味ではあるが重要な任務を確実に果たしていた。彼の上司であるラインハルトは、そんな彼を高く評価して他の優秀な提督と同列に置いた。(以上は、【エンサイクロペディア銀河英雄伝説】(らいとすたっふ:編、徳間書店)より引用)
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フランスの小説家、アナトール・フランス曰く、「正直とか親切とか友情とか、そんな普通の道徳を堅固に守る人こそ、真の偉大な人間というべきである」(以上は、【人生をたのしむ才能】より引用)
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奇抜なことばかりする人は、周囲から妬みというものが生まれるが、普通のことを確実にこなしていく人は、そういった意味では堅実な生き方なのかもしれない。
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ある先輩の人事考課論を挙げると、「毎日、同じ業務をミスせずにこなす担当者は、これといって目新しい事や改善・改革とは無縁である為、一般的に評価は平均もしくはそれ以下となる。一方、『改善担当』の類は、何をやってもそれが新しいことであり、また定型業務も無いため、時間を全て『改善』に費やすことができ、必然的に評価は平均以上のものとなる。こういう事を人事考課を実施する人は、しっかりと認識していなければならない」