022「シンプルにするのは難しいことだが、素晴らしいこと」
難しい専門用語で凝り固まった本、複雑なプログラムで構成されたシステム、どれも褒められたものではない。巧妙な技術はより簡単な手法には適わない。勘違いしてはならないのは技術や知識をやみくもに学ぶことではなく、学んだそれらの知識を単純化させることである。
いかに専門的な用語やカタカナ語を使わずに、人に教育できるかが講師の腕の見せ所である。例えば、コンピュータのメモリやハードディスクを、私たちの日常で身近にある机に置き換えて説明した方が、実際にその機能を説明するよりも理解しやすい。
応用とは複雑にすることではなく、シンプルにすることである。これは大変に難しいことであるが、だからこそ素晴らしいのである。
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クラウゼウィッツの【戦争論】にこんな言葉がある。「知識を単純化した人を天才という」「巧妙な戦法は、時の流れとともに、より簡単な戦法に席を譲らねばならない」
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【クラウゼウィッツ兵法】(大橋武夫:著、マネジメント社)より、抜粋してみた。「元東大外科部長の大本誠二氏曰く、『誰にでもできる手術が、最良の手術である』」
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【マーフィーの法則】にある。「事態を複雑にするのは単純な作業だが、単純にするのは複雑な作業である(メイヤーの法則)」
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【「考える力」をつける本2】でも、「『考える』とは、『複雑に考える』ことであって、『複雑な考え方』こそ高級であるという誤解がこの世に充満している。しかしわたしは思うのだ。『考える力』とは、簡潔、簡明に『考える力』のことではないのか、と」と述べている。
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【クリエイティブ・メモ術】からも抜粋してみた。「よいシステムとは、誰でも簡単にいつからでも適応できるものだと思う。きちんとした考え方に裏づけされ、一つひとつに根拠があり、無駄がない」
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最後に【山崎武也の「超」仕事法】から、次の一文を紹介して締めくくる。「シェークスピアのいうように、簡潔は知恵の神髄である」