021「問い合わせを受けるときの注意」
問い合わせは、する側よりもされる側の方こそ、気を配る必要がある。
まず、基本は「いわれるがままに対応するべからず」である。問い合わせをする者の殆どは初心者か中級者である。今まで覚えたテクニックを駆使して目的を実現させようとするが、彼らは最善の方法を知らない。
プログラムを作らないと実現できないと思っていたことも、案外、簡単な仕組みで対応できることもある。でも、それは相手の目的が目に見えてはじめて分かることである。
まず、相手からの質問を受け取ったら、それが目的を意味するものなのか、それとも単純に目先の問題を意味するものなのかを見極めること。これが問い合わせの常識である。
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例えば、「あるデータにAとBの項目があり、新項目CにAとBの合計値を入れるにはどうしたらいいのか?」という問い合わせがあったとする。ここで、AまたはBを修正したら、必ずCを更新するような仕組みが必要になるので、その技法をついうっかりと説明しそうになるが、そもそも何故、その合計値を一項目として必要なのかを確認すると、レポートに合計を表示したいから…ということが分かる。それならば、何も合計値をデータに持たなくても、レポート上でAとBの合計を表示させれば済む話である。
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合計値や平均値は、データ上では全く必要のないものである。これについては、いずれ「システムエンジニアリング論」の「合計値平均値不要論」にて述べたい。
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【山崎武也の「超」仕事法】では、問い合わせについて以下のように述べている。「問題についての相手の説明に対して、まず耳を傾けて、問題のポイントはどこにあるかを探る。問題を突きつめていき、そのポイントがわかったら、それを相手にわかりやすく説明する。問題点がどこにあるかもわからないようでは、専門家として失格である。問題を分析したうえで、自分が知らないことであれば知らないといい、自分の専門外であれば自分にはその解決能力がないというべきである。自分に解決できないということがわかっていて、その点を臆面もなく人にいえる段階に至れば、すでにかなりの専門家になっている証拠である」
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特にコンピュータの世界では、原因不明のトラブルがよく多発するが、問い合わせを受け持った者は、それが分からないからといって、直ぐに「バグ」として片づけてはならない(私は、これを「バグダン発言」と呼んでいる)。