019「確認の言葉がないのは、分かっていない証拠」
あなたが会議や打ち合わせなどの場で発言するとき、人それぞれの心理状態から、あなたの話題に興味を抱いているかどうかを伺い知ることができる。例えば、頷いてはいても、視線がそっぽを向いている人はいないだろうか?。また、必要以上に多く頷いたり、むやみに相槌を打つ人はいないだろうか?。恐らく、彼らはあなたの話を理解していないことが考えられる。
むしろ、あなたの話を理解している人は、今あなたの話したことを、繰り返し聞いてくるはずだ。この確認の言葉のない者は、あなたの話に興味がない、または理解していない証拠なのである。ただ頷いているだけの人は要注意であることを忘れてはならない。
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【トリックの心理学】(樺旦純:著、三笠書房)に、聞き方の深層心理について、「相手の言ったことを繰り返すという聞き方は、話し手の心の奥に入り込んで、本音を何とか聞きたいという欲求に根ざしていることが多く、繰り返しによって「じっと聞いてますよ」という気持ちを伝達し、相手の心の障壁を除くように仕向ける」と記されている。
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【あなたに贈る希望の言葉】(バーバラ・ミロ・オーバック:著、大原敬子:訳、PHP研究所)の中で、「知らないことがあっても恥ずかしがらないで尋ねることです。相手は聞いてくれる行為が嬉しいのです」と記されている。また、「話題につまったら、相手の最後の言葉尻をオウムがえしに話かけると、話はスムーズにいく」とも記されている。例えば、「昨日は残業で疲れましたよ」と話しかけてきた場合、「残業でしたか」とか、「疲れましたか」と語りかけるのである。
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【「考える力」をつける本2】(轡田隆史:著、三笠書房)では、「職場での質問に、上司や先輩は親切に誠実に答えてくれるだろうか。あまり質問すると、あいつ、のみ込みが遅いな、とか、鈍いな、とか思われてしまうのではないか。そう心配する人もあるだろう。だれだって、「一を聞いて十を知る」人間だと評価されたいからである。しかし、上司や先輩の方も、「十を聞く」後輩をこそ、むしろ評価すべし。すぐに「わかった」ような顔をする人間に限って、ただの「わかったつもり」だけなのが多いのである」と記されている。
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もう一つ、【山崎武也の「超」仕事法】においても、「その際に、きちんとわかっているかどうかを聞いて、わかっているといわれて安心してはいけない。知ったかぶりをするのは一つの癖であるから、急には直らない。わからなくても、わかったという可能性は大きい。その点を明確なかたちで確認しようと思ったら、相手に復唱させるのがもっとも安全な方法である。しかし、押しつけるようにして、軍隊式に復唱をするようにと命令をするのは、上手なやり方とはいえない」と、ここでも確認の言葉の重要性を説いている。
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ここで挙げた数々の書籍からも分かるように、いかに「確認の言葉」が大切であるかを理解したい。まず、そもそも質問が出来ないのは、何が分からないのかさえ分からない、ということが考えられる。ある先輩は、「原因は話し手にもあるので、基本的に話し手に主導権がある以上、もっと分かり易く(レベルを下げて)話をしたり、確認を入れたりすることが必要である」と述べている。