014「マニュアルの本当の使い方を知る」
例えば電化製品を購入すると、必ず取扱説明書というものが付いてくる。しかしここでいきなり説明書を読んでも、理解するのは難しい。やはり一度使ってみることが一番である。
まずは色々と好き勝手に操作してみて(遊んでみて)、そこで行き詰まってから、初めて目次や索引から対象の頁をめくるのが好ましい。全てを読むのではなく、必要なときに必要なところだけを読むのである。とくに多機能な製品になればなるほど、マニュアルは厚手で複数になり、全部を読むのは極めて困難になる。そういう場合は、背のタイトルと目次より、何を扱っている本であるかを理解するだけでいい。そうすれば困ったときに、どの本を読めばいいかが分かるからだ。
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特にホストコンピュータ級のマニュアルになると、冊数は20冊以上で、総合計は軽く1万頁を数えるものだが、ある先輩は私に、「困ったときにどの本を読めばいいのかさえ、しっかり覚えておけばそれでいい」とだけ教えていただいた。
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もちろん取り扱う対象の危険度にもよる。パソコンと原子炉の制御コンピュータとでは、「困ったときに考えよう」のレベルの次元が違う。
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【マーフィーの法則】に、「何をやってもだめな場合は、マニュアルを読むこと」と書いてあるが、【続・マーフィーの法則】では、「わからないことをマニュアルで調べると、わからないことが増える」とも記されている。
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図書館にある本を、全て読むことが出来ないのを恥じるのではない。図書館には何の本があるのか知らないことを恥じるべきだ。
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ただ、マニュアルを全く見ないというのも考えものである。私がここで言いたいのは、「マニュアルの本当の使い方」を知ってもらうことであり、「マニュアルが不要である」ということではない。グーズベリー随想録の第2集では、このことについて改めて説明する。