010「デジタル型情報伝達の特徴」
デジタル型情報伝達とは、紙に記した文字やFAX、そして電子メールなどを利用して相手に情報を伝える手段のことで、発信側の伝えたい情報を、確実に着信側に伝えることが出来る為(通信手段や弊害はこの際は無視する)、多数の人数に送ったり、または回覧しても、情報の内容を変形させることなく伝達できる。
ただし、それはその情報を読みとるまでのことであり、以後、着信側の情報の捉え方によって、発信側と着信側との間には、意図把握の差異が生じる。それは発信側の用意された情報に、どれだけの確実性要因が盛り込まれているかに拠る。
また感情を付加させることが難しく、着信側の誤解によるトラブルを招きやすいので注意する必要がある。
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電子メールを始めた頃、何も考えずにメールを送ったら、相手から「そんな言い方はないじゃない」と返信の届いたことがあった。そんなつもりはなかったのだが、読み手は恐らく私の文章を皮肉と感じとったのだろう。特に相手が本気なのか冗談なのかを判別するのが難しいこと、そして口語的な文章などから誤解を招きやすい。
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「気をつけて下さい」と書かれると、いかにも露骨で皮肉な印象を受けるが、「気をつけてください(笑)」と書かれると、前者よりも愛敬を感じる。このように、電子メールの場合は(笑)とか、(^^)を始めとするフェイスマークを見かけるが、無機質的な文章にいくらかの感情を表現させることで、誤解を避ける効果があるので、一概に馬鹿にすることはできない。
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ある先輩は、発信側と着信側との意図把握の差異の一因として、年齢差も挙げている。「使われている言葉が分からなかったり、誤った意味で捉えられたりする可能性が高いので、特に注意が必要である」と述べ、「フェイスマークなどは、今世紀中には管理職に理解されないのでは?」とユーモラスなコメントを残している。それはさておき、年齢差の問題は抜きにしても、情報を伝える際には、「相手は分かってくれるだろう」という考え方ではなく、「この内容で、相手は本当に分かってもらえるのであろうか」という気持ちが大切である。その先輩の言葉を借りれば、「少しでもトラブルを無くすには、やはり発信側が着信側の立場になって、一度、予備知識が無い状態で理解できるかチェックすることが不可欠である」ということになる。