009「情報を中継させることの難しさ」
伝言ゲームという遊びがある。相手の背中に指で文字を書き、その感じとった文字をまた次の人の背中に指で書き伝え、最後の人がその答えを当てるというものである。
このゲームで言いたいのは、自分がどれだけ確実な情報を相手に伝えることが出来るかということと、相手がいかにして、正確に情報を読みとることが出来るかということにある。この場合、相手は感覚的な情報を読みとることになる為、確実に伝わらない可能性が高い。それが会話であっても同じことで、その人の受け取り方次第で、誤った解釈で別の人に伝わる場合がある。つまり、中継を介すということは、情報が誤った形に変化しやすいので、気をつけなければいけない。
-
情報を変化させず相手に伝えるためには、デジタル型情報伝達などの手段をとる必要がある。これについては、bO10にて詳しく説明する。
-
コンピュータの世界には、「リピータ」と呼ばれる機械がある。ネットワークなどで、データの発信元から受信先までの距離が遠い場合、間にリピータを置くことで、デジタル信号を増幅させる役割を果たす。これに対して、人間は会話という手段で、相手に情報を伝えることができる。しかし、会話はアナログ的な情報伝達になる為、ごびゅう誤謬した形で情報が増幅されてしまう。噂が極端な方向に進むのもこの為である。
-
このように1つの真実が、その個人個人によって虚談へと変化し、その本人の故意によらずに真実が変化することを、私は「慣性の法則」ならぬ「感性の法則」と呼んでいる。この法則については、以降のグーズベリー随想録にて、例を踏まえて説明していきたい。