008「考えておきます的挨拶」
関西弁では、相手との商談を断るときに「考えとくわ」と言う。実際には考えるつもりなど、さらさらないわけであるが、これを知らない人は馬鹿を見ることになる。こういう風に実際の意味とは違うことを表わす挨拶が結構ある。
「また、いつか会いましょう」「今度、電話します」「いつか君のところへ遊びに行くよ」といった別れ際に使う挨拶もそうである。これらの本当の意味を簡潔に言い表すと、「さようなら」である。実際に何気なく使っているのだが、言葉上の意味で実現することは稀である。こういった挨拶を聞いたときは、素直に「そうですね」と答えつつも、言葉の本義としては実現しないということを、自分に言い聞かせておいた方がいい。
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私自身、こういう挨拶に典型的に騙されるタイプであり、後で「あのときに言ったじゃないか」と反発したところで、結局、馬鹿を見ていた経験は数え切れない程ある。プライベートにおいて、実際に「電話します」と言って、本当に電話が掛かってきたり、「今度、遊びに行きます」といって遊びにきてくれる人は、殆どいない。
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ある女性に、「デートでもしませんか?」と聞いたら、「また、今度ね」と言われた。体よく断られたわけだ。この言葉に期待するのは馬鹿である。「今度」は永久に訪れない(しつこくアタックするという手もあるが)。
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【続・マーフィーの法則】(日本マーフィー普及会:編、アスキー出版局)には、「サラリーマン言語学」と称して、表面上と真意とが異なる言葉を紹介している。私は、これをビジネスマン言語学として、グーズベリー随想録の第2集にて説明していくつもりである。