002「アイデアは時と場所を選んでくれない」
いいアイデアが浮かぶときは、決まってメモを取るのが非常に困難なときばかりである。その中でもよくあるのが、トイレの中、風呂の中、車の中、そして布団の中である。これらは普段、メモを用意していない環境であるばかりでなく、メモを取るのも難しい環境であるともいえる。しかし、自分のデスクでは想像もつかないような、ある問題に対しての解決策や、企画などのアイデアがよく浮かぶのである。
もし心当たりのある方は、これらの場所でアイデアが思いついたらどうするかを考え、メモを取れるような環境を整えておくことが必要である。
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北宋の文人政治家であるおうようしゅう欧陽修は、すぐれた考えがよく浮かぶ場所として、馬上、ちんじょう枕上、しじょう厠上(トイレ)の3つを挙げた。これを「三上」という。このことは、【「超」整理法】(野口悠紀雄:著、中公新書)や、【クリエイティブ・メモ術】(福島哲史:著、ビジネス社)、【文章を書くヒント】(外山滋比古:著、PHP文庫)でも紹介されている。
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私の場合は現代風にアレンジして、「四中」としてみた。ある先輩はこのことについて、「基本的に四中は、自分一人の閉ざされた空間であり、全神経を集中できる限られた場所」と補足している。
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会社の場合はともかく、自宅のトイレには、落書きのできるメモの一角を用意し、車の中や、布団の側にある机の上にも、メモ用具を備えてあるが、どうもバスルームだけは、メモが水に苦手な分、どうしようか悩んでいる。それに、車の中でのメモは大変に危険である為、アイデアの思いついたときに、直ぐにメモできないことがある。
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【マーフィーの法則】(アーサー・ブロック:著、倉骨彰:訳、アスキー出版局)に、「ペンがあれば、メモ用紙がない。メモ用紙があれば、ペンがない。ペンもメモ用紙もあれば、伝言がない」とあるが、アイデアについても同じことがいえる。