《2000年08月06日 〜 2000年08月12日》


【ちょっとだけ深く考えてみる―― それが、「プチ哲学」】

 マガジンハウス社、佐藤雅彦さんの「プチ哲学」を、読了しました。佐藤雅彦さんは、NECの「バザールでござーる」のCMでも有名な、名CMプランナーです(また、大学教授、作家でもあります)。「カローラUに乗って」の名曲も、佐藤さんの作品です。その一方で、プレイステーションでは、「IQ」というゲームを大ヒットさせるなど、その活動範囲は、多岐に渡っています。あの、「だんご三兄弟」の制作にも携わっていたそうです。

 しかし、そのことを知ったのは、この本を買った後のことでした。私は、この本の題名の可愛らしさと、装丁のシンプルさに惹かれ、思わず、この本を手に取り、その内容の素晴らしさから、すぐさま、購入意欲を掻き立てられました。確かに、どこかで見たことのあるような絵のタッチでした。

 この本の題名には、「哲学」という言葉が付いています。だからといって、難しいものと決めつけてはいけません。これは、「プチ哲学」なのです。見開きの2ページに、1つのテーマを説明しています。その中に、文章は、ほとんどありません。むしろ、佐藤さんの可愛らしい絵に、目を奪われてしまいます。そうすると、自然に、文章を読みたくなるのです。とても、素晴らしいつくりです。これならば、本の苦手な方にも、楽しめます。

 本当は、本書の中から、お気に入りの内容を一つ取り上げて、ご紹介したいところなのですが、この本は、文章だけでなく、シンプルな絵の存在があって、はじめて、主旨を理解できるように作られているので、言葉だけを挙げても、この本の素晴らしさを伝えることにはならないような気が致します。…だからこそ、是非、手に取って、ページをめくってみて下さい。すぐに、この本の世界に引き込まれていくことでしょう。

 …とはいえ、このまま、終わるのは、とても寂しいので、本書より、気に入った言葉をいくつかご紹介したいと思います。

  • 人間の発想は、見えない枠にとらわれています。しかし、時として失敗は、その枠の外にはみだした所に発生します。その時、私たちは新しい発見にめぐりあえたりするのです。このような偶然性の発見を、難しい言葉ですが「セレンディピティー」と言います。

  • 同じ情報でも受け手の状態が違うと全く逆の価値を持つことさえあります。

  • 「情報がない」ことが「情報」になり得ることが時々あります。

  • 新しい価値を生み出す時、新しくシステムを作ることに目を向けるだけでなく、既にあるシステム(しくみ)を違った目で見ると、そこにすばらしいアイデアが潜んでいる事があります。《中略》『既存のしくみで、全く新しい価値』を生みだすことに成功したとき、いろんな面(費用・時間の節約など)で大きな利点がありますが、そもそも新しい視点を持つことや、それを試みることにとても大きな意味があります。

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